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GTS-SCP-XXXX「赤いハイヒール」

GTS-SCP-XXXX「赤いハイヒール」

財団外宇宙支部|統合調査記録・改訂版
機密指定:LEVEL 4 / オブジェクトクラス:Euclid(暫定)
※本書は創作上のSCP風文書です。

※性的描写はありませんが、キツイ描写があるためR-18にしてます


概要:惑星エデンへの移住

西暦20██年、地球環境の不可逆的悪化を受け、財団は人類を大型宇宙輸送船で未知の惑星「エデン」へ移住させた。大気、水質、気温などは地球に近く、人類は新天地での生活を開始した。
しかし、現地の動植物、人工物、知的生命体は地球上の同種のものと比べ、おおむね1,000倍の規模を有していた。アリでさえ地球人ほどの大きさに達し、現地の成人女性は身長約1,700mに及ぶ。
移住後、原因不明の圧死や失踪が多発した。財団は危険区域の調査にDクラス職員を投入した。今回の任務は、失踪が相次ぐ地点に存在する巨大な赤色構造物の内部と周辺を調べることである。


[特別収容プロトコル」

SCP-XXXX周辺を立入制限区域とする。現地住民との接触は禁止する。対象の完全な収容は不可能であり、観測を優先する。なお現地司令部は調査開始時点で、対象が現地女性の住宅玄関に置かれた赤いハイヒールであることを知らなかった。
補遺1:赤色構造物の発見
構造物は滑らかな赤色の曲面を有し、全長約260m、最大高度約120m。片側に細長い支柱、もう一方に巨大な空洞がある。床面は黒く柔軟で、内部には革に似た臭気が漂っていた。財団は現地文明の装置または建造物と推測した。
構造物内部から失踪者の時計、衣服、通信機その他の遺留品は一切発見されなかった。床面にかすかな赤い染みが点在するのみで、その由来は判定不能だった。


[補遺2:第一次調査命令」


]作戦名:オペレーション・レッドゲート/投入人員:Dクラス職員48名。第一班12名が内部、第二班18名が西側、第三班18名が北側を担当した。
「調査を完遂し有益な情報を持ち帰った職員については、Dクラス指定の解除を審査する。解除が承認された場合は一般移住者としての生活を認める。参加拒否は認められない。」
08:34〜08:52|内部調査
D-1101:内部に入った。床は黒く、柔らかい。天井はライトが届かないほど高い。
D-1103:何か臭う。革みたいだ。
D-1104:失踪者が何十人もいるのに、荷物が一つもない。
D-1103:こっちの床に赤い染みがある。薄いのがいくつか。
管制官:試料を採取し、調査を継続してください。
D-1101:了解。だが、ここで何が起きたのか、見当もつかない。


[補遺3:接近する黒い柱」


]09:12〜09:15|第三班・北側観測地点
最初の振動は小石が跳ねる程度だった。数秒ごとに「ドン」という低い衝撃が続き、次第にタイル全体が揺れ始めた。隊員は立ち上がって逃げようとしたが、次の振動のたびに膝をつき、背中から倒れた。
D-1132:また地震だ! このままじゃ立っていられない!
D-1130:白い壁の方へ走れ!
隊員が十数m進んだところで新たな振動が襲い、観測装置が横転した。地面の奥から来る衝撃は規則的だった。
D-1135:北側を見ろ! 黒い柱がある!
D-1130:あんなもの、さっきまでなかったぞ。
遥か上空まで続く黒い円柱の表面には、巨大な格子模様が見えた。後の解析で、それは女性の黒色ストッキングの編み目と判明する。しかし現場では、誰も脚だと考えなかった。
09:16|第二班・西側観測地点
D-1118:柱が傾いている……いや、持ち上がった!
黒い柱の下端が地表を離れると、その下に広い黒色の曲面が現れた。隊員には巨大な板が空に浮かんでいるように見えた。
D-1115:管制、黒い柱の下に板状構造がある。全長は200m以上だ!
D-1118:あれが赤い構造物に向かってる。
その正体は、ストッキングに包まれた女性の足裏だった。調査隊は全体像を捉えられず、巨大な可動式構造物と誤認し続けた。


[補遺4:内部閉塞と第一班消失」


]09:17〜09:19|第一班通信記録
赤色構造物の入口から差し込む光が急に減少した。巨大な黒い曲面が入口を覆い、内部へゆっくり進入していた。
D-1104:黒い壁が降りてくる!
D-1101:全員、側壁へ! 中央から離れろ!
D-1103:床が沈んでる! 立てない!
黒色物体が下降するたび、床面が変形し、逃げようとした隊員は何度も転倒した。
D-1101:管制! 出口が塞がれた! 内部が狭くなっている!
管制官:退避経路を確保してください。
D-1101:どこにも逃げられない!
09:18:46、第一班の映像が途絶。12名の生命反応が消失した。事後解析では、女性が赤いハイヒールに足を入れ、踵を下ろした時刻と一致した。


[補遺5:現地女性の視点」

09:13〜09:20|玄関
女性は廊下を歩きながら時計を見た。「もうこんな時間。急がなくちゃ」。彼女が普通に歩く一歩ごとに、数百m離れた調査隊の足元には激しい地響きが伝わっていた。
玄関に着いた女性は壁に手を添え、黒いストッキングを履いた右足を持ち上げた。赤いハイヒールへ足先を滑り込ませると、足裏にごくわずかな違和感があった。
「あ、またヒールの中に虫がいたわ。最近多いのよね」
女性はそれ以上気にせず踵を下ろした。彼女にとっては、履き物の中に小さな虫が入り込んでいた程度の出来事だった。
履き終わったあと、女性は玄関タイル上に小さな黒い点がいくつも動いていることに気づいた。しばらく見つめたが、それが人間だとは思いもしなかった。
「何かしら、これ。……虫? 嫌だわ、こんなところにまでいるのね」


[補遺6:玄関タイル上の最終通信」


]09:20〜09:21|第三班記録
隊員たちは白い壁を目指して走った。だが、タイル一枚の幅さえ数百mあり、継ぎ目は深い溝のようだった。頭上には巨大な赤い底面が移動し、自然光が遮られた。
D-1132:あれがこっちに降りてくる!
D-1130:走れ! 今のうちだ!
赤い底面が数十m先に接地し、激しい衝撃で隊員全員が転倒した。D-1130は痛めた脚を引きずりながら立ち上がろうとした。だが、次の振動で再び地面に倒れた。
D-1135:また来る!
彼らの視界を巨大な影が覆った。
09:21|現地女性の行動記録
女性は動く黒い点を虫だと判断し、赤いハイヒールの先端をその近くへ向けた。「もう、困った子たちね」。軽く足を下ろす。
ぷちっ。
「あ、踏んじゃった」。女性は足元を確認した。まだ動く点が残っている。
ぷちっ。
別の点がタイルの継ぎ目へ向かって動いている。女性はため息をついた。「本当に多いわね」。再び足を下ろした。
ぷちっ。
さらに一度、赤い靴先がタイルに触れた。
ぷちっ。
女性は動く点が見えなくなったことを確かめ、鏡に向き直った。「うん、もういないわね。やっぱりこの赤いヒール、可愛いわ」。そのまま玄関を出た。
09:21:58|通信終結
D-1130:管制! 応答しろ! 俺たちは――
[通信途絶]
第三班、第二班の生命反応はすべて消失した。女性は最後まで調査隊を地球人類とは認識していなかった。


[補遺7:財団事後分析」


]調査隊が「黒い柱」と呼んだものは現地女性の脚であり、「黒い板」はストッキングに覆われた足部だった。赤色構造物はハイヒールである。隊員は巨大すぎる対象の全体像を捉えられず、最後までその正体を理解できなかった。
内部で発見された微量の赤い染みの由来は未確定であり、失踪者との関連を示す直接的な証拠はない。
「現地住民が我々に気づかないことは危険だ。しかし、気づいたとしても我々を人間と認識しないことは、それ以上に危険である。彼女は虫を駆除したつもりで玄関を後にした。」――研究主任 ████
財団倫理委員会は無人観測を優先するよう勧告したが、資源不足を理由に有人調査の全面停止は承認されなかった。

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